拝啓 よしこさん
壁から生えた鉄道模型が美しいソーラン節を魅せる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
最後にあなたとお会いしてから516354年の月日が経っていることがいまだに信じられません。
あの時いただいたお菓子、とてもおいしかったです。おかげでゴミの分別ができました。
さて、この度あなたにお手紙をしたためたのには訳があります。
すでにお気づきのことと思いますが、言いたいことを忘れてしまいました。
ひょっとすると知っているかも?と思い、妹に相談してみましたが
相変わらず首から下が土に埋まっているので、やはり彼女はあまり役には立ちません。
あなたがいなくなってから、夜がとても長く感じられるようになりました。
できることなら、もう少しあなたと一緒に居たかった。
もっとあなたに本を食べさせてあげたかった。
それだけが心残りです。
ですが、あなたにはあなたの人生があります。
東京タワーの呼称を「もっちり どすこいランド」に変える夢、応援しています。
辛くなったら、魔法瓶をこすってみてくださいね。摩擦が生じますので。
私も近頃は忙しく過ごしていますが、あなたへの手紙を書くことは一生に一度の楽しみなので、ご迷惑でなければお付き合いいただければと思っています。
桜の花びらが爆笑の渦に巻き込まれる季節までは、私は死にません。
それでは、またお会いできる日を楽しみにしています。
ぜひご自由にご歓談ください。
敬具
―完―