ノンストップいぐざむ

細かいことは気にしないで生きています。

ミニ小説書きました

 

 

魔王「フハハハ!!よくぞここまできた、勇者よ」

 

世界に平和をもたらすため魔王の城へ攻め込んだ勇者は、 立ちはだかる数々の障害を突破し、ついに魔王のいる城の最深部へとたどり着いた。

度重なる戦闘ですでにボロボロだった勇者だが、それらのダメージを感じさせないほどの強いまなざしで、勇者は魔王をにらみつける。

 

勇者「お前の悪事もここまでだ!覚悟しろ!魔王!」

 

 

魔王は勇者の恫喝にひるむことなく、余裕の表情で、悪趣味な装飾の施された王座に深く腰掛けていた。

 

 

勇者「お前のせいでどれだけの無実の人々が苦しめられたと思っている!それに…それにお前は俺の父さんを殺した!絶対に許さない…!」

 

依然として余裕の表情だった魔王が突然、驚いたように目を丸くして笑いだした

 

魔王「フハハハハハハ!!」

勇者「…何がおかしい!」

 

魔王の意外な反応に勇者も驚いたが、動揺させる作戦かもしれない

緊張を保ったまま勇者は魔王を見据えた

 

 

魔王「お前の父親を殺しただと…?この私が…?フッ…何も知らないようだな。当時お前はまだ小さな赤子だった。まぁ無理もあるまい」

 

勇者「一体何の話をしている!お前が父を殺したせいで俺の母さんは村で酷い扱いを受けているんだぞ!」

 

意味深な魔王の発言に気圧されぬよう、勇者は声を張り上げた

 

 

 

魔王「…まぁ聞け。お前は不思議に思わなかったのか?なぜ夫を殺された不憫な女が村で迫害されているのか」

 

勇者「何っ!?」

 

 

重く張りつめた空気の中、不気味な笑みを浮かべながら、震えあがるような重く力強い声で魔王は言った

 

「聞いて驚くなよ…

 

お前の父は、この私だ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

勇者「あ、了解っす」

 

 

 

 

 

 

魔王「フハハハハハ驚いて声も出ま……え?何その反応」

勇者「いや、聞いて驚くな、っていうから…」

 

魔王「確かに言ったけど、そういうのじゃないじゃん?驚くな、って驚いてほしいときにいうやつじゃん?」

勇者「そっすね」

 

 

魔王「…ちっ、ふざけたやつめ!まぁよい…実の息子だが、魔王となったこの私にはもはや邪魔な存在…消えてもらう!!くらえ!最終奥義!!エターナルフォースブリザ―

勇者「あ、そういうのいいんで」

 

 

ざくー

 

 

魔王「ギャアアアアアアアアアアアアアアア」

 

 

 

 

-完-