ノンストップいぐざむ

細かいことは気にしないで生きています。

頑張ろうマン

 

僕の名はたかし。

くそダメダメ人間の底辺Fラン大学生さ

 

 

もう僕の人生は終わったんだ。

今までの人生、がんばったことなんてなんにもない。

勉強もろくにせず、かといって何かに打ち込んだかというとそうでもない。

ただ家に引きこもってゲームしたりテレビみたり、自堕落に過ごしてきただけ。


高校はどうでもいい高校を赤点ギリギリで卒業して、大学はFラン大学……

友達だって全然いないし、女の子となんてほとんど話したこともないよ

 

俺は本当にダメ人間さ。

それは自分でもよくわかっている。

でも今更どうすることもできないんだ。

大学生になるまで何の努力もせず、何も積み重ねてこなかった人間が

いまさら頑張れるかい?

土台無理な話だよ。

 

もう俺には明るい人生は残されていないんだ。

この先みじめな一生を過ごすくらいなら、もういっそ……

 

「バカな考えはやめるんだ!!頑張ろう!!大丈夫さ!できる!頑張ろう!!」

 

え…?

 

「私の名前は頑張ろうマン!頑張れない君の人生を変えるためにやってきた!僕が応援するから、君はこれから頑張るんだ!」

 

頑張ろうマン…?

こんな俺でも、人生なんとかなるのかな……?

 

「大丈夫さ!絶対できる!頑張ろう頑張ろう!」

 

うぅ......ありがとう......

わかったよ、これから頑張ってみる!

さっそくだけど頑張ろうマン、僕はこれからどうしたらいいのかな?

 

「まずはアルバイトを始めてみたらどうかな?いい社会勉強になると思うし、なにか自分の強みが見つかるかもしれないよ!」

 

アルバイトか......

やったことないし、すごく怖いけど

頑張ろうマンを信じて、俺、やってみるよ!

  

~数日後~

 

い、いらっしゃいませ......あ、〇〇バーガーへようこそ......あの......ご注文は......?

えっ、あ、いや、わかんないです......あ、すみません......すみません......

 

あのねぇ!たかしくん!君さぁ全然接客できてないよ!さっきのお客様なんて怒って帰っちゃったじゃないか!次までに最低限の仕事は覚えてきてよね!

 

(うぅ......やっぱり僕にアルバイトなんて無理だったんだ......つらい、やめたいよぉ......)

 

 

「たかしくん!大丈夫かい!」

 

が、頑張ろうマン!アルバイトはじめてみたけど、やっぱり僕にはダメだったよ......もうやめたいよ......

 

「たかしくん.........」

 

 

 

「よし、辞めよう!!」

 

え?が、頑張ろうマン…!?

そこは、あきらめずに頑張ろう!じゃないの…!?!?

 

「いや!これから頑張って羽ばたこうとするたかしくんにとって、嫌な職場で無理に消耗されられることは避けるべきだ!思い切ってやめよう!」

 

え、でも、まだ始めたばかりだし、ここでやめたら諦め癖がついちゃうんじゃ......

 

何を怯えているんだたかしくん!こんなのは無駄な時間だよ!思い切ってやめるんだ!頑張ろう!頑張ろう!」

 

そ、そうだよね。もっと自分に向いている仕事があるよね......

 

「就職だけが人生じゃないよ!今の時代、ネットで稼いで1人で生きていける時代だよ!社会勉強なんてしなくていいよ!就職もやめよう!」

 

うん、わかった!僕がんばるよ!

 

「いいぞたかしくん!その調子だ!頑張ろう頑張ろう!」

 

 

~数年後~

 

あれから結局就職しないで、ダラダラとフリーターみたいなことやってたけど

とにかく怠けることしかしてこなかったから、何もないまま年月だけが経っちゃったよ......

お金がなくてひもじいよ......このままじゃ、もう俺どうにもならないかも......

 

「大丈夫さ!たかしくん!頑張ろう頑張ろう!」

 

が、頑張ろうマン!

僕、これからどうしたらいいのかな......

昔の同級生たちはもう仕事で出世してたり、結婚したりしてるのに

僕はもう人生に絶望しかないよ......

 

「たかしくん!もう一度頑張ろう!たかしくん!僕がいい方法を教えてあげるよ!」

 

本当かい!?ありがとう頑張ろうマン!

 

「この秘密の仕事を始めれば、お金持ちになって昔の同級生たちを一気に出し抜けるよたかしくん!頑張ろう頑張ろう!」

 

頑張ろうマン……!俺、その仕事で一発逆転してみるよ!!

それで、なにをすればいいのかな?

 

「たかしくん、すき家って知ってるかな?」

 

もちろん知ってるよ!有名な牛丼屋さんだよね。すき家かぁ、つらいけど確かに時給はいいって聞くよね、僕にできるかなぁ……

 

「違うよたかしくん、働くんじゃないんだ。すき家っていうのはね、深夜はワンオペ、つまり従業員が一人で働いているところが多いんだよ」

 

うん、それがどうしたの……?

 

「深夜でお客さんもいない、従業員は1人。つまりこれは、強盗がとってもしやすいんだ」

 

頑張ろうマン!?なにいってるの、犯罪だよそれは!

 

「たかしくん、今まで君を見てきたけど、君がこれまでにろくに頑張れたことがあったかい?毎日だらだらと怠けてばかりいたよね。昔の同級生たちを見てごらん、みんな立派にやっているよ。君みたいなぼんくらに残された道は、もうこういう道しか残されていないんだよ。頑張ろう頑張ろう!」

 

確かにそれはそうかもしれないけど、でも......!!

 

「大丈夫、やるのはたった一回だけだよ。その一回でたくさんのお金を手に入れることが出来れば、それを元手にして投資を始めるんだ。大丈夫、僕の言う通りにすれば絶対に儲かるよ。強盗だって、そう簡単にはバレないよ。大丈夫、僕を信じて僕の言うとおりにするんだ、いいね?頑張ろうたかしくん!」

 

頑張ろうマン......本当に大丈夫なの......?

 

「大丈夫だよ。何も人を殺そうっていうんじゃない。まっとうに生きていてちゃんとお金を持っている人たちから、ちょっとばっかしお金を取っちゃおうってだけなんだ。一回だけだよ、一回頑張れば、あとの君の人生はもう安泰だよ。こんな生活から抜け出したいだろう?頑張ろう頑張ろう!たかしくん!」

 

そうだよね、ちゃんと顔を隠せばバレないよね......

わかった、僕やるよ!これで今までの人生、全部チャラにするんだ......!

 

「たかしくん......君ならやってくれると信じていたよ」

 

 

 

 

ハァ……ハァ……!!

頑張ろうマン!言われた通り強盗して、言われたところにお金を置いてきたよ!

これでいいんだよね?頑張ろうマン!

頑張ろうマンのおかげで、僕これからなんとかなりそうだよ!

あとはあのお金を増やせばいいんだよね?

今まで何もがんばってこなかったけど、今度こそ心を入れ替えて頑張るよ!

頑張ろうマン!どこにいるのー?

 

頑張ろうマーン!出てきてよー!

 

頑張ろうマーン!!!

 

 

─完─